Happy Grass-Fed Cow

牛が幸せであってほしい

「影」の存在を受け入れた時、見えてくる「光」がある。
厳しい酪農の現状に向き合いながら、
「牛」にとっての幸せと「人」にとっての幸せについて考える

酪農家 山本英伸

岡山県真庭市 牧場経営をする両親の元に生まれ、
小さな頃から、牛舎が居場所のひとつであり遊び場だった。

学校から帰ると牛舎横の部屋で宿題をし、毎日友人達が遊びに来る。
そんな家が、家族が誇らしかった幼少期。

夏の牧草収穫シーズンには、父親の運転するトラクターに乗り、
伝わる振動と、刈り取られたばかりの牧草の香りがする風を感じるのが好きだった。

僕にとって、牛は家族同然の身近な存在。

動物に囲まれた幼少期を過ごし、高校卒業後は自然と動物と関わる道に進路を決める。
ペットトリマーとして7年、チーフになり、さらなる技術力を身につけるために海外への道も考えた。

酪農を営む両親からは、継ぐことを強制された事はなかったものの、
両親が大切に営んできた家業を経験した上で
今後の進路を決めたいと酪農の道へ進んだ。

酪農の道に入りわかったことは、
牛には嘘がないということ。

一頭一頭かわいいということも、
生計を立てるためのお金に換わるということも
大切な命と向き合うからこそ、
本気で取り組める仕事として没頭している。

酪農の道に進み、何よりも面白くやりがいを感じている今、
牛一頭一頭に心から感謝をしているし、
できる事なら、うちで飼われている牛が
少しでも幸せであってほしいと願う。

牛と過ごす時間は心落ち着く時間であり、
僕は今も、その酪農の道で生きている。

酪農業界の現実は厳しい面も存在する。
高齢化により引退する酪農家が増え、
牛乳の価格低迷や、少子化による学校給食での牛乳消費の減少。
地球温暖化により、夏場の牛の体調管理が難しくなったと感じるなど
一筋縄ではいかない大きな壁が立ちはだかる。

人が飼っている牛は自然ではありません。
家畜である牛は、生きている以上、お金がかかり続けるものだから、
「飼育すること」と「幸せであること」のバランスに
頭を悩ませることが多かった。

ご縁を大切にしながら、新しい酪農の道を研究模索している中で
「満月のGHEE」と出会い、
牛とともに暮らしている中で芽生えた「放牧飼育」への憧れが、
ギーであれば叶えられると、可能性を感じた。
酪農の未来へ「光」が射す瞬間だった。

出来るかどうかじゃない。
課題は山積みだけれどやると決めた。

現実が動き出し
未来が変わっていく。

365日完全放牧。

牛は好きな時に、エサ(草)を探し食べられる。

動物は本来、エサを食べるという事だけでなく
エサを「探す」という欲求を満たすことも大事なこと。
寝る時には、自由な態勢で寝られる。
排泄物の臭いと換気扇の爆音から解放され、自由に行動できる。
日光を十分に浴び、暑い時には木陰で休み、自然の風の中で過ごすことが出来る。
コンクリートでない、爪・関節に負荷のかからない地面を踏みしめる事ができる。

牛が暮らす風景を通して、地域にも環境にも、人にも優しく
持続可能なつながりと関わりをしていくこと。
人にとっても、家畜である牛にとっても、
幸せな環境は作れると僕は信じている。

昔、たくさんの友人が毎日遊びに来てくれたように、
またこの地にたくさんの人々が訪れてくれますように。
「満月のGHEE」を通して、たくさんの笑顔が循環する
そんな未来を作りたい。

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